2010年12月2日木曜日

アンパンマンとブラックメロンパンナ (ファン小説)

 「メロンパンナちゃん遅いですね…」
アンパンマンはジャムおじさんに言いました。
メロンパンナは今朝、パンの配達に出たっきり、まだ戻らないのでした。
「何かあったんでしょうか…?」
「心配すんなって!!きっとお花畑で遊んでいて時間を忘れているんだよ!」
とカレーパンマン。
「そうですよ。あるいはロールパンナちゃんに出会ったとか」
としょくぱんまんも言いました。
しかし、アンパンマンは可愛い妹が心配でなりませんでした。
「僕、探しに行ってきます!」
「僕もいく!!」
とクリームパンダも言いました。
その時、パン工場の外で大きな音がしました。
みんながあわてて外に出てみると、バイキンUFOが墜落していました。
そして、ばいきんまんはアンパンマンにすがり付いて、
「はひ~!!助けてくださいなのだ~!」
と叫びました。
「どうしたの?」
とアンパンマンはいつもと様子の違うばいきんまんに驚いて聞きました。
「何か事情があるようだね。中に入って話を聞こうじゃないか。」
ジャムおじさんの言葉にみんなは工場の中に戻りました。

 追い詰められたような、落ち着きのないばいきんまんは、今までの事柄を話しました。

 それは、新しいバイキンエキスを開発したことから始まりました。
ばいきんまんはバイキン草から取れるエキスから「憎しみ」の成分を取り出すことに成功したのでした。
そのときばいきんまんの頭に閃いたのはロールパンナを使ってアンパンマンをやっつける完璧と思える作戦でした。
ロールパンナはメロンパンナが現れると良い心が強くなる。
ならばまずメロンパンナにバイキン草を使い、悪いこころを植えつけてしまえば、ロールパンナも悪いままになる、と言う思いつきでした。
それは素晴らしい作戦に思えました。
なぜなら、いかに非力なメロンパンナと言えども長い間捕らえておくことは難しいからです。
しかしバイキンエキスで悪いメロンパンナ、ブラックメロンパンナにしてしまえば、ばいきんまんの言いなりにさせることが出来るのです。
そのことを思いついたばいきんまんは、早速ドキンちゃんに頼んでロールパンナをおびき寄せてもらうことにしました。

 「ドキンちゃん!!俺様アンパンマンをやっつける凄いアイデアを思いついたのだ!!」
「え~、また~?ホントに上手くいくの?また失敗するんじゃないの?」
嬉しそうに入ってきたばいきんまんにドキンちゃんは気の無い返事をしました。
「このバイキンエキスを使えば大丈夫なのだ!このバイキンエキスは憎しみの成分だけを取り出した特製なんだから!!」
「バイキンエキスねぇ。そろそろワンパターンなんじゃなぁい?」
一生懸命説明してもドキンちゃんは雑誌から目を離しません。
「今度の作戦は一味違うのだ~!!だから~!!ドキンちゃんはロールパンナをおびき寄せてきて!」
「ばいきんまんはどうするのよぅ?」
「俺様は、このばいきんまん特製バイキンエキスでメロンパンナをブラックメロンパンナにしてやるのよぉっ!!」
「えぇっ、メロンパンナをブラックメロンパンナに? ばいきんまんにしちゃ良い作戦じゃないの~!」
ドキンちゃんはそこまで聞いてやっと作戦が上手く行くように思ったようでした。
急に笑顔になってばいきんまんの背中をどんと叩きました。
「おとと…アンパンマンをやっつければ!!」
「世界は私たちのもの!!」
「おいしい物も!!」
「ひっとり占め!!」
「「はっひふっへほ~っ!!」」
仲良く踊った後、早速ばいきんまん達はUFOで出かけていきました。


 「あくまのくにの~ぷりんせすぅ~」
メロンパンナはバスケットを抱え、歌を歌いながら飛んでいました。
「おねえちゃんにあいたいなぁ…」
と独りごとを言ったとき、
「そんなに会いたいなら会っわせってやっるっぞ~!!はっひふっへほ~!!」
とばいきんUFOが降りてきました。
「ばいきんまん!!おねえちゃんに何をしたの!?」
メロンパンナはこぶしを作って聞きました。
「まぁ~だ何もしていないよ~。何をするか知りたいか?」
からかうような笑顔でばいきんまんは聞き返しました。
「何をする気なの!!おねえちゃんに変なことしたらメロンパンナ許さないんだから!!」
メロンパンナは精一杯の恐い表情を作ってばいきんまんに言いました。
けれどもばいきんまんはニヤニヤしながら、
「答えはこの箱の中だよ!」
と、白い箱をメロンパンナに向かって放りました。
「!? 何よぉこれ?」
メロンパンナは思わず受け取り、ばいきんまんに聞きました。
「その中には、アンパンマンをやっつけるための物が入っているのさっ!!」
「そんな事させないんだから!」
とメロンパンナが箱を開けると、中に入っていたのはブラックチクリンでした。
ブラックチクリンは早速メロンパンナのお尻にその角を付きたてました。
「きゃんっ!!」
メロンパンナにはどうすることも出来ませんでした。
「ぎゃ~ははは!!引っかかった引っかかった~!!」
気を失ったメロンパンナをマジックハンドで捕まえ、バスケットの中のパンを食べながら意気揚々とばいきんまんはバイキン城に戻りました。

 ロールパンナを捕まえるのは簡単でした。
何しろメロンパンナの事になると回りが見えなくなるのですから。
「久しぶりだな、ロールパンナ」
ばいきんまんは、がっちりと拘束器に捕らえられたロールパンナを見て満足そうに言いました。
「ばいきんまん、メロンパンナはどこだ!!」
ロールパンナは本当に怒っていました。
「今あわせてやるよ。メロンパンナ、こっちに来るんだ」
「ハーイ」
と、自動ドアから出てきたメロンパンナは、ナースキャップをかぶっていました。
そして、
「おねえちゃん、お注射しましょうね~」
とロールパンナに近づいていきました。
しかしいつものメロンパンナとどこか雰囲気が違っていました。
「メロンパンナ?どうしたんだ?」
ロールパンナはメロンパンナに言いましたが、メロンパンナは、
「痛くないですよ~」
と、まるで聞こえていないようなそぶりでした。
ロールパンナは恐ろしい予感にとらわれ、
「ばいきんまん!!お前メロンパンナに何をした!!」
と叫びました。
「なに、ちょっとバイキンエキスでブラックメロンパンナになってもらったのよ! そして、お前も特製バイキンエキスでブラックロールパンナにしてやるぅ!!」
ばいきんまんは今まで冷静なフリをしていましたが、こらえきれずに
「は~ひふ~へほったら、は~ひふ~へほ~!!」
と踊りました。
「さぁっ二人でアンパンマンをやっつけに行くのだ~!!」

 「メロンパンナ!!しっかりするんだ!!メロンパンナ!!」
ロールパンナは必死に呼びかけましたが、メロンパンナには聞こえないようでした。
そして、メロンパンナはステンレスのトレイから注射器を取り上げ、ロールパンナの青いハートに突き立てました。
ロールパンナは激痛に耐え切れず大声で叫びました。
その痛みは肉体的なものではなく心の痛みでした。
そして、ロールパンナは自分の青いハートの力が大きくなり、閉じ込めていた憎しみがどんどん増すのを感じました。
「メロン…パンナ…!!」
ロールパンナの意識は遠のいていきました。

 大きな爆発がバイキン城を包みました。
煙が晴れると、そこにいたのはブラックロールパンナでした。
ばいきんまんは大喜びで、
「行け!!ブラックロールパンナ!!アンパンマンをやっつけるのだ!!」 
と命令しました。
しかし、ブラックロールパンナは動きませんでした。
「どうしたぁ!?聞こえないのか?ロールパンナぁ!!」
「うるさい!!」
とブラックロールパンナはばいきんまんを睨み、リボンを一閃させました。
とっさに伏せたばいきんまんの後ろでコンソールが真っ二つになりました。
「な、なんだか様子がおかしいわよ、ばいきんまん」
ドキンちゃんはばいきんまんの後ろに隠れながら聞きました。
「まず、お前から壊してやる…」
「げぇっ!!」
ばいきんまんは理解しました。
ロールパンナの憎しみは強くなりすぎて、周りの者すべてを壊さずにはいられなくなってしまったのだと。
けれどもドキンちゃんは
「ちょっと何言っているのよぅ!!」
といつもの調子で抗議しました。
ブラックロールパンナはドキンちゃんを一瞥するとリボンを振るいました。
「ドキンちゃん危ない!!」
ばいきんまんはドキンちゃんを突き飛ばしました。
「ちょっと痛いじゃないのぉ!!」
ひっくり返ったドキンちゃんがばいきんまんを見ると、研究室の端にまで吹き飛ばされていました。
「ドキンちゃん、逃げて…バイキン仙人のところに…」
「わかったわ!」
ドキンちゃんはドキンUFOに飛び乗り、
「でもその前に…」
とドキンUFOでブラックロールパンナに突っ込みました。
ばいきんまんに気をとられていたブラックロールパンナは避けきれずにUFOと共に壁に激突しました。
「ばいきんまん!!今のうちに!!」
「よぉしっ!!」
ばいきんまんはバイキンUFOに乗り込み、ありとあらゆる武器を壁に張り付いているブラックロールパンナに浴びせかけました。
しかし、ブラックロールパンナは両手に持ったロールリボンでことごとく跳ね返していきました。
そして、一瞬の隙を突いてUFOにリボンを絡め、壁に打ち付けました。
「は、はひ~」
ばいきんまんは目を回し、闇雲にロケット弾を発射しました。
ブラックロールパンナは軽々と避け、ばいきんまんにとどめを刺そうとしました。
しかし、天井がロケットの爆発で崩れ始め、だんだんバイキン城全体にも亀裂が入り始めました。
気がつくのが遅れたブラックロールパンナは、瓦礫をよけきれずに埋まっていきました。
「ドキンちゃんはバイキン仙人のところに逃げて!」
「ばいきんまんはどうするのよぅ!!」
「俺様はブラックロールパンナを止めなくてはなのだ!」
「そんなことできるの?」
「俺様はばいきんまんなのだ!!ちゃんと考えがあるから心配しないでイイのだ!!」
「…バイキン仙人様を連れてすぐ戻ってくるから!!」
そういってドキンちゃんは飛んでいきました。

 「とは言ったものの、考えなんかないのだ…」
眼下ではバイキン城が崩れ落ちたところでした。
と、一箇所動く物がありました。
それはローリングハリケーンで瓦礫を吹き飛ばしているブラックロールパンナでした。
「まずい…」
ばいきんまんは冷や汗を流し、ブラックロールパンナに見つかる前に、そこから離れました。
「あいつにだけは頼りたくないけど…この際仕方ないのだ…」
ばいきんまんは、ぼろぼろのUFOでパン工場に向かいました。
「パン工場まで持ってくれなのだ…」

 「それで助けを求めてやってきたと言うわけか…」
ジャムおじさんは腕を組んで考え込んでいました。
「しかしなぁ、ロールパンナを元に戻すにはメロンパンナのメロンジュースが一番効くんだが…」
「そのメロンパンナちゃんが行方不明では…」
しょくぱんまんが、後を引き取って言いました。
「しかもブラック化してるなんてなぁ…!!ばいきんまん、コテンパンにしてやるから覚悟しな!!」
カレーパンマンは腕まくりをしてばいきんまんに近づきました。
「はひ~」
「カレーパンマン、今はそんなことをしている場合じゃないでしょう」
「なにお!!」
「愛の花か、まごころ草があれば、ロールパンナを元に戻すことが出来るかもしれない…」
とジャムおじさんが言うと、皆は顔を見合わせ頷きました。
「愛の花なら咲いている場所は分かります。僕、採ってきます!!」
アンパンマンはそう言って外に出ました。
「じゃあ、おれはバイキン城まで行ってメロンパンナちゃんを探してくるぜ!」
カレーパンマンも外に出ましたが、すぐに立ち止まっていたアンパンマンにぶつかってしまいました。
「おい、アンパンマン、なにそんな所でボーッと…」
見上げると、空からブラックロールパンナが皆を見下ろしていました。

 「ロールパンナ!!」
ジャムおじさんは叫びました。
「ロールパンナちゃん!!」
皆も口々に呼びかけましたが、ブラックロールパンナの表情は変わりませんでした。
「アンパンマン…今日こそおまえをやっつける…」
ブラックロールパンナは恐ろしい表情でいいました。
「ロールパンナちゃん!!悪い心と闘うんだ!!」
アンパンマンは必死に訴えました。
「私たちは友達でしょう?思い出して!!」
しょくぱんまんもいいました。
「おれたちのこと忘れたのかよ~!!」
カレーパンマンは悲しそうに言いました。
「おねえちゃん!!元に戻って~!!」
幼いクリームパンダも一生懸命に頼みました。

 しかし、ブラックロールパンナは無言でロールリボンを取り出しました。
「カレーパンマン、バイキン城に行ってメロンパンナを助けてきておくれ!!」
ジャムおじさんは皆に指示を出しました。
「アンパンマンとしょくぱんまんは、ロールパンナを引き止めておいておくれ。気を付けるんだよ!!」
「私たちはアンパンマン号で愛の花を採りに行くよ!!」
「はい!!」
ジャムおじさん、バタコ、チーズそしてクリームパンダはアンパンマン号に乗り込み急いでまぼろしの谷に向かいました。
ばいきんまんはバイキンUFOに取り付き、
「お前たちにだけ活躍させるわけには行かないのだ!!」
と言いながら、凄い勢いでUFOを修理し始めました。

 アンパンマンとしょくぱんまんは飛び立ってブラックロールパンナに対峙しました。
「アンパンマン、お前を倒す!」 
「きみとは闘えない! まごころ草の人に尽くす力、やさしい心を思い出して!」
アンパンマンはそれでもロールパンナの良い心の力を信じてそう言いました。
「フン、それしか言えないのか? おめでたい奴だ。ばらばらにしてやる!」
ブラックロールパンナは両手のリボンで二人に襲い掛かってきました。
「アンパンマン!闘うしかありません!!もう私たちの言葉もロールパンナちゃんには…」
しょくぱんまんはそういいながらしょくパンチを繰り出しました。
しかし、さらりとかわしたブラックロールパンナは、逆にしょくぱんまんをリボンでぐるぐる巻きにしてしまいました。
振り回され、投げ飛ばされたしょくぱんまんを受け止め、アンパンマンは言いました。
「メロンパンナちゃんのことを思い出すんだ!メロンパンナちゃんはいつも君の事を想っているよ!」
「メロンパンナか? あのうるさい奴なら瓦礫の下に埋まっているぞ? それがどうした?」
ブラックロールパンナは攻撃の手を休めず言いました。
「そんな…君の大事な妹じゃないか!」
「あてが外れて残念だな。次はお前たちの番だ!」
そういってブラックロールパンナはしょくぱんまんにリボンを絡め、もう一方のリボンで打ちのめしました。
「やめるんだー!ロールパンナちゃんっ!!アーンパンチッ!!」
そういって繰り出したアンパンチをブラックロールパンナは紙一重でかわしました。
ブラックロールパンナはしょくぱんまんを投げ捨て、アンパンマンに向かって二本のリボンを振るいました。

 「大変!!しょくぱんまんが!!」
疾走するアンパンマン号から双眼鏡で見ていたバタコはジャムおじさんに言いました。
「この峠を越えればもう少しなんだが…間に合わないかも知れない…」
アンパンマン号は峠道を出来る限りの速さで走っているところでした。
「これ以上スピードを出すとアンパンマン号が谷底に落ちてしまう!」
ジャムおじさんは悔しそうに言いました。
「僕が先に行って、採ってくる!!」
それまで黙っていたクリームパンダが意を決して言いました。
「えぇ!?」
3人ともビックリしてクリームパンダを見ました。
「僕が先に行って、取ってくれば間に合うかもしれないでしょ?」
バタコは心配そうに言いました。
「でも、まぼろしの谷は危険が一杯なのよ?」
「そんな事分かっているよ!、でもアンパンマンやしょくぱんまんだって一生懸命戦ってる!僕だっておねえちゃんのために戦えるよ!」
必死に言うクリームパンダの声は少し震えていました。
「よし、じゃあバタコや、地図を描いておやり」
ジャムおじさんは難しい顔をして言いました。


 「ロォ~ラァッ!!」
ブラックロールパンナはアンパンマンをしたたかに打ち付けました。
「顔がゆがんでちからが出ない…」
アンパンマンはふらふらと地上に落ちていきました。
「これで終わりだ!!アンパンマン!!」
ロールパンナの繰り出したリボンは、しかしアンパンマンに届く前にはじかれてしまいました。
「アンパンマンを倒すのはこの俺様だ!!勝手に倒すなぁ~」
ばいきんまんが応急修理をしたバイキンUFOでアンパンマンを守ったのでした。
「なんだと?!」
「俺様の強さ、見せてやる!!」
ばいきんまんはUFOからありったけのマジックハンドを出し、ブラックロールパンナに攻撃を仕掛けました。
「邪魔を、するなぁ~!!」
ばいきんまんはロールリボンでぐるぐる巻きにされて地面に激突しました。
「とどめだアンパンマン!!」
しかし、またしてもリボンはアンパンマンには届きませんでした。
「ほっほっほ、ずいぶん張り切っているようじゃな?じゃが、ちとやりすぎじゃ」
雲の上にのった老人がブラックロールパンナの前に現れたのでした。
「お前…」
「ドキンちゃんをいじめる奴はこのバイキン仙人が相手じゃ」
ニヤリと笑ってバイキン仙人は杖を構えました。
「面白い…その高慢な鼻をへし折ってやる!」
ロールパンナはリボンを繰り出しましたが、バイキン仙人は煙につつまれ、一瞬のうちに沢山のバイキン仙人になりました。
「バイキン仙人様がんばって~!!」
ドキンちゃんはドキンUFOの上からバイキン仙人に応援の声をかけ、ばいきんまんの所に下りていきました。
「やっぱりイイ考えなんてなかったのね?」
ばいきんまんはUFOのそばで目を回していました。
「はひ~…」
「バイキン城はぼろぼろだし、今度の作戦も失敗ね」
UFOから降りたドキンちゃんは、ばいきんまんに宣告しました。
「ドキンちゃん、あんまり厳しいこと言わないでよ…」
角の垂れ下がったばいきんまんはぐったりして言いました。
「何言ってんのよ!!私の部屋もなくなっちゃたのよ!!今夜どこで寝るのよ~!ばかばかばかぁ~!!」
ドキンちゃんはばいきんまんの頭をぽかぽかぶちました。

 「メロンパンナちゃ~ん!どこだ~!!」
カレーパンマンはバイキン城の上を飛んでいました。
バイキン城はすっかり瓦礫の山となっていました。
「これじゃどこにいるのか見当もつかないぜ…」
カレーパンマンは瓦礫の上すれすれをゆっくり飛び辺りを見まわしました。
「メロンパンナちゃ~ん!!…んっ?」
カレーパンマンはかすかな音を聞きました。
「メロンパンナちゃんか? 今助けるからな!!」
そういって、音の聞こえた辺りの瓦礫をどかし始めました。
「かびかびかびかび~!!」
「うわあっ!!」
しかし、出てきたのはかびるんるんでした。
「なんだよ~!! お前たちか~。メロンパンナちゃんを知らないかい?」
「かび~かびかびかび~」
「え、こっちのほうで声を聞いたって? よ~し、今度こそ!!」
「う~ん…」
「メロンパンナちゃん!!俺だよ!カレーパンマンだよ!!」
メロンパンナは目を回していました。
「あ、カレーパンマン…なんだか気持ち悪い…」
「ひどいな~!せっかく助けに来たって言うのにさ!!」
「いやそうじゃなくって…」

 「ジャムおじさ~ん!!」
クリームパンダは大切そうに愛の花を抱え戻ってきました。
その体は汚れ、傷ついていました。
「クリームパンダちゃん!大丈夫?!」
愛の花を受け取り、バタコはクリームパンダの身体を気遣いました。
「こんなのへっちゃらだい!!」
そういって笑顔を見せたクリームパンダはしかし床にへたり込んでしまいました。
「クリームパンダちゃん…」
「ゆっくり休ませておやり」
そうジャムおじさんは言って、
「よし、早速愛の花の蜜を取ろう」
と準備を始めました。
「はい!」
「チーズ、運転を頼むよ」
「あんあ~ん!!」
アンパンマン号はUターンして、パン工場を目指しました。

 しょくぱんまんは目を覚ましました。
体中が痛みましたが、特にひどい怪我はありませんでした。
何かがぶつかり合う音で、まだブラックロールパンナは誰かと戦っている事が分かりました。
まわりを見回すと、遠くにアンパンマンが倒れていました。
「アンパンマン!無事だったんですね!」
しょくぱんまんは駆け寄り、アンパンマンを抱き起こしました。
アンパンマンも意識を取り戻し、立ち上がって飛び立とうとしました。
「アンパンマン、その身体では無理です!」
「でもロールパンナちゃんを止めなくちゃ…」
「そういえば、ロールパンナちゃんは誰と戦っているのでしょう…?」

 「どうした?わしの高慢な鼻をへし折るんじゃなかったのかの?」
沢山のバイキン仙人はブラックロールパンナにそう言いました。
「ローリングハリケーンッ!!」
ブラックロールパンナは高速回転を始めました。
バイキン仙人の幻影は次々に消えていきました。
「なかなかやりおるな、じゃがまだまだ」
バイキン仙人は余裕の表情で言いました。
しかしブラックロールパンナのハリケーンはどんどん大きくなっていきました。
そして、近くにいたばいきんまんやドキンちゃんまで吹き飛ばされていきました。
「きゃ~!!」
「いかん、ドキンちゃんが…」
バイキン仙人がドキンちゃんを助けようとしたとき、竜巻の中からリボンが鋭く伸びて来ました。
リボンにはじかれたバイキン仙人は腰を打って顔をしかめました。
「あいたたた…わしとしたことが…」
しかし、ブラックロールパンナは手を止めず、リボンでバイキン仙人の杖を絡め取り、膝の上で折ってしまいました。
「さあ、覚悟はいいか?」
ブラックロールパンナはバイキン仙人に聞きました。

 「アンパンマン、新しい顔が焼けたよ」
とジャムおじさんはかまどからアンパンマンの新しい顔を取り出しました。
「この顔には愛の花の蜜が入っている。もしかしたらロールパンナを助けることが出来るかもしれない…」
バタコはアンパンマン号から降りてきて、
「カレーパンマンはメロンパンナちゃんを見つけられたのかしら…」
と言いました。
「まだ戻っていません。心配ですね…」
しょくぱんまんも心配そうでした。
「それよりもロールパンナちゃんを止めるほうが先ですね」
アンパンマンはそう言い、ジャムおじさんもうなづきました。
そして、
「それっ!」
とアンパンマンの顔を交換しました。
「愛が100倍!アンパンマン!!」
アンパンマンはすっかり元気になりました。
「わぁ!なんだか元気がどんどん沸いてくる感じです!」
「愛は、勇気や、まごころや、元気のみなもとだからねぇ」
とジャムおじさんは言いました。
そして、急に真剣な表情になると、アンパンマンに、
「ロールパンナを説得するのは私がやろう」
言いました。
アンパンマンは驚きました。
そしてしょくぱんまんも、
「それは無茶です!危険すぎます!」
と反対しました。
「イヤ、ロールパンナは私が作ったのだから、今回の事件の責任も私にある。私が解決する責任があるんだよ。もちろんアンパンマン、しょくぱんまんにも手伝って欲しい」
「…わかりました。でも危なくなったらすぐに逃げてくださいね」
ジャムおじさんは答えませんでした。



 ブラックロールパンナは、振りかえりました。
後ろからアンパンマンとしょくぱんまんが近づいてきたからです。
そして地上を走るアンパンマン号も見えました。
アンパンマン号の上にはジャムおじさんが顔を出していました。
「ロールパンナ!!なぜこんなことをするんだね!?」
とジャムおじさんは声をかけました。
「なぜ、だと!?そんなことも分からないのか?」
ブラックロールパンナは嗤いました。
「私はお前たちを憎んでいるからだよ!この世界のすべてが憎い!私をのけ者にし、恐れる者たち、利用しようとする者たち! そして勝手な思いを押し付けるお前たちが憎い!」
「そんなことは無いよ!私たちはみんなおまえを愛しているよ!」
「フン、愛など何の意味も無い。何の力にもならない。私には関係が無い!」
そう叫ぶとブラックロールパンナはそこらじゅうの物を壊し始めました。
「やめなさい!ロールパンナ!そんなに憎いなら、私を壊しなさい!お前を作った私こそ本当に憎い相手のはずだ!」
ブラックロールパンナはその言葉を聞くとピタリと暴れるのをやめました。
そして背中を向けたまま肩を震わせました。
笑っていたのです。
「ロール…パンナ?」
意外な行動にジャムおじさんは戸惑いました。
「何も分かっていないな…。それで私を救おうと言うのか?わかった…ジャム!お前を壊してやるよ!」
振り返ったブラックロールパンナの目には涙があふれていました。
「ロォ~ララララァッ!!」
ブラックロールパンナは渾身の力を込めリボンを振るいました。
「あぶな~い!!」
アンパンマンはすんでの所でジャムおじさんを救いました。
「ジャムおじさん、あとは僕が!」
「しかし…」
アンパンマンはジャムおじさんの言葉を最後まで聞かずに舞い上がりました。

 「ロールパンナちゃん!君の中にはまごころ草の力も!メロンジュースもまだあるはずだ!思い出して!!」
「アンパンマン…言いたいことはそれだけか?他に何も言えないのか?」
「…僕の顔には愛の花の蜜が入っている。だからわかるんだ、愛がすべての力になるって事が!!」
「…憎しみこそがすべてに勝る力だ。今からそれを証明してやる…」
「違うよ!愛こそが憎しみを消すことが出来るんだよ!」
「だったら消してみろ!このわたしの憎しみを!」
「ロールパンナちゃん!!」
ブラックロールパンナはリボンを振り回しました。
アンパンマンはリボンをかわし、アンパンチの体勢になりました。
「フン!口ではきれいごとを言っておきながら結局はアンパンチか!わたしは間違っていなかった!わたしのすべてをかけてお前を壊してやる!!」
リボンはアンパンマンめがけて恐ろしい勢いで伸びていきました。
「愛が100倍!愛のア~ンパ~ンチ!!」
アンパンマンは自分が泣いていることに気がついていました。

 まばゆい光があたりを包み込みました。

アンパンマンは自分が暗い荒野にいることに気がつきました。
「ここはどこだろう…まるでくらやみまんの世界みたいだ…」
アンパンマンが独り言を言ったとき、かすかに泣き声が聞こえてきました。
「こんなところに誰かいるのかな?」
アンパンマンが飛んでいくと一人の小さな女の子がしゃがみこんで泣いていました。
「どうしたの?おうちがわからないの?」
いつものようにやさしく声をかけたアンパンマンに、その女の子は顔を上げました。
それは小さなロールパンナでした。
「ロールパンナちゃん?!」
「アンパンマン!恐いよぅ!」
その小さなロールパンナはアンパンマンにしがみつきました。
「だいじょうぶ、僕が守ってあげるからね。だから泣かないで」
アンパンマンはやさしく抱きしめました。
そのとき、かなたから竜巻が近づいてきました。
アンパンマンは小さなロールパンナをマントでかばい、飛ばされないように必死に耐えました。
竜巻はアンパンマンの前で止まり、だんだん弱くなっていきました。
アンパンマンが顔を上げると目の前にブラックロールパンナが立っていました。
風をまとったブラックロールパンナはアンパンマンを見ていました。
「ロールパンナちゃんがふたり…」
驚いて、つい独り言を言ってしまいました。
「アンパンマン、ついて来い」
そういうとブラックロールパンナは竜巻になって先導しました。
「行かないで!一人にしないで!」
と小さなロールパンナは言いました。
アンパンマンは
「じゃあ一緒に行こうか?」
と言いました。
小さなロールパンナはアンパンマンの背中に乗り、満足そうでした。

 ついた所は奇妙なお城でした。それは岩山のようにも見えました。
ブラックロールパンナの後から一緒に城の中に入ったアンパンマンは周りを見回しました。
城の外も中も包帯でぐるぐるまきでした。
そして玉座の前に出たアンパンマンは玉座に座しているお城の主も、包帯でお城に縛り付けられていることに気がつきました。
「あなたは…?」
そこにいたのは一人の少女でした。
「わたしはロールパンナ…本当のロールパンナ…」
それは覆面をしていないロールパンナでした。
「本当の…ロールパンナ…ちゃん…?」
アンパンマンはあっけに取られていました。
ブラックロールパンナがいかにも軽蔑した口調で言いました。
「こいつがロールパンナの素顔だよ。自分ひとりじゃ何も決められない哀れで無力な小娘さ」
「アンパンマン…」
本当のロールパンナはアンパンマンに語り掛けました。
「あなたが、わたしを本当に助けたいのなら…いいえ、わたしはここから解き放されるために、あなたの…」
そういったきり本当のロールパンナはうつむいて黙ってしまいました。
「ロールパンナちゃん…」
アンパンマンは玉座に近づきました。
ブラックロールパンナは言いました。
「さっさと言えよ。自分が助かるためにお前の命をささげてくれってな」
「えっ?」
アンパンマンは立ち止まりました。
本当のロールパンナはさっと顔を上げ、
「いいえ、わたしの問題はわたしが解決するべきです。アンパンマン、こんな所にまで来てくれてありがとう。その気持ちだけでもうれしいわ」
と言いました。
「は、は、は、は」
ブラックロールパンナは神経質に嗤いました。
「やはり意味が無いな。気持ちだけでは何も出来ない。そうしてお前は、永久にそこに縛り付けられているんだな。解決か。お前はありもしない事を夢見ているだけだ」
本当のロールパンナはブラックロールパンナを睨みつけ、
「そんなこと、ないわ!…そんなこと…」
と言いましたが、その声はだんだん小さくなっていきました。
アンパンマンはその二人の言葉を聞きながら、小さなロールパンナがずっと自分にしがみついている事に気がつきました。
ロールパンナはずっとこんな冷たい世界でさまよっていたのかと思いました。
ロールパンナはとても解決できないと思える問題にたった一人で立ち向かっていたのでした。

 アンパンマンは、本当のロールパンナに聞きました。
「ロールパンナちゃん、僕の命の星があれば、君は解放されるんだね?」
本当のロールパンナは一瞬嬉しそうな顔をしてアンパンマンを見つめました。
けれども、すぐに目をそらし、首を振りました。
小さなロールパンナはきゃっと喜びの声を上げました。
「ロールパンナちゃん、受け取って」
アンパンマンは自分の身体から命の星を取り出しました。
ブラックロールパンナは
「それを渡したら、お前は死ぬんだぞ?!」とあわてたように言いました。
本当のロールパンナは言いました。
「いいえ、それは受け取れません!あなたの命はあなたの物です!」
「僕は、人の役に立つために生まれてきたんだ。ロールパンナちゃんのために出来ることは何でもできるよ」
そういって、アンパンマンはロールパンナの手を取りました。
「僕はいつもロールパンナちゃんのために最善を尽くすって決めてたんだ。ロールパンナちゃんは大切な家族だから…」
命の星は輝きを増し、二人を、そして闇に包まれていたロールパンナの心を光で満たしました。
アンパンマンは意識を失いながら、満足そうに微笑みました。

 夕方の空がまばゆい光に包まれました。
それが命の星の光だとわかったのはジャムおじさんとばいきんまんだけでした。
けれどもそこにいたみんな、その光がとてもやさしい気持ちにしてくれることはわかりました。
カレーパンマンに抱えられて戻ってきたメロンパンナには、その光が愛の光である事が感じ取れました。
メロンパンナの中のバイキン草のエキスはその光できれいに無くなってしまいました。
その光の中、アンパンマンとロールパンナはしっかりと抱きあっていました。
そして二人はゆっくり地上に降りてきました。
恐ろしいほどの静寂の中、アンパンマンはロールパンナに言いました。
「おかえり」
ロールパンナは涙ぐみながら言いました。
「ありがとう」
とても幸せそうでした。

 みんなが駆け寄ってきたとき、アンパンマンの姿はどこにもありませんでした。

 「パトロールに行ってきます」
パン工場から出て行こうとした時、二階からメロンパンナが駆け下りてきて、
「わたしも行く!」と言いました。
二人でパン工場を後にし、並んで飛んでいると、メロンパンナが言いました。
「おねえちゃん、どお?新しい生活に慣れてきた?」
「そうだな、こうしてメロンパンナと一緒にパトロールできるだけで私は幸せだ」
ロールパンナは妹に微笑みかけました。
「うふ、おねえちゃん」
メロンパンナも嬉しそうに微笑みました。
「…その…アンパンマンのことだけど…」
メロンパンナはこの半年、アンパンマンのことはロールパンナの前では話題にしていませんでした。
それは、アンパンマンの犠牲によってロールパンナが帰ってきたという事実を受け入れられなかったのだと、ロールパンナは思っていました。
「うん、あいつは本当にヒーローだったよ」
ロールパンナは素直な気持ちで言いました。
「おねえちゃんには分からないかも知れないけど、わたし寂しいの」
「アンパンマンがいなくてか?」
「うん…」
「あいつは自分の役目を果たしたんだ。そしてわたしを救ってくれた。だから私はあいつの意思を継ぐことにしたんだ。」
「うん…」
「そんな悲しそうな顔、アンパンマンは見たくないって言うと思うよ、メロンパンナ」
「そうだね…」
「あいつの命の星はわたしの中にある。あいつは今もわたしと共にあると、私は信じている。メロンパンナ、お前の心にもアンパンマンはいるだろう?」
「うん…」
「わたしたちにはみんな何かの役目がある。その役目を果たすまでは、悲しみに負けないで歩いていかなくちゃいけないんだ」
「そうだね」
「それに」
とロールパンナは言いました。
「え?」
「なんだかもうすぐまたアンパンマンに会えるような気がするんだ」
「うふ、そうだったらいいなぁ」
メロンパンナはそういって微笑みました。

 「は~ひふ~へほ~!!」
空からUFOに乗ったばいきんまんが降りてきました。
「ばいきんまん…」
「ロールパンナァ!!よくも俺様の生きがいを無くしてくれたな!!ぎったんぎったんにしてやるから覚悟しろ!!」
「ばいきんまん、もうこんなことやめにしないか?」
ロールパンナは何度目になるか知れない会話に少しうんざりして言いました。
「うるさいうるさいうるさ~い!!」
聞く耳持たないばいきんまんにロールパンナはため息をつきました。
けれどもメロンパンナは、そんなばいきんまんを見てなんだか安心したのでした。
マジックハンドで捕まえられたときも懐かしい感じがして、ロールパンナに助けを求めて叫ぶときも、なんだか顔がほころんでしまうのでした。
「ばいばいき~ん」
ローリングハリケーンで吹き飛ばされていくばいきんまんを見てメロンパンナは、
「うふふ、ばいきんまんたら相変わらずなんだから」
といたずらっ子を見るような気持ちになったのでした。

 その夜、ジャムおじさんはみんなのためにあんパンを焼いてくれました。
みんなが焼きあがるのを楽しみにしていると、流れ星が煙突から釜の中に落ちてきました。
激しく明滅する釜のふたを見つめながら、ロールパンナはメロンパンナに言いました。
「ほら、わたしが言ったとおりだろう?」
メロンパンナは大きな声で
「そうだね!!」
とロールパンナの腕に抱きつきました。

パン工場の上ではキラキラ星がキラリと光りました。

2010年11月6日土曜日

赤いハート (ファン小説)

 ああ とつぜんかわるのよ
 こころがかわる
 思い出す 愛と 優しいこころを
 ああ いまは よくわかる よくみえる
 うれしいんだ ルルララララルララ

 ローラ姫は、入浴してさっぱりしました。
ロールパンナが浴槽の準備をしてくれたり、髪を洗ってくれたりしたので、まるで本当のお姫様のようでした。
その後、寝室のクローゼットに入り、ロールパンナと一緒にたくさんのクッションをベッドに運びました。
ベッドはとても大きかったので、全部並べてもまだ十分に二人が寝る場所がありました。
ローラはベッドに入り、うきうきしていました。
何しろ、このお城にお客様が泊まるということは、初めてだったからです。
まして親友を泊めるなんていうことは。

 気がつくと、ロールパンナはじゅうたんの上に寝そべっていました。
「…ロールパンナ?」
 なぜ、一緒にベッドを用意したのに、じゅうたんの上に寝るのだろうと、ローラは怪訝に思いました。
「一緒に寝ようよ」
 とローラは 言いました。
しかし、ロールパンナは、
「わたしは、ここでいい」
 と、ベッドに入ろうとはせず、マントを自分の身体に巻きつけました。
ロールパンナは今までずっと、洞穴や草原で寝ていたのでふわふわのベッドで寝るのが、なんだか恐かったのでした。
そんなロールパンナにとっては、じゅうたんでさえとても気持ちのいい寝床に思えたのでした。

ローラは口を真一文字に結んで、しばらくロールパンナを見ていましたが、持っていたクッションをロールパンナに投げつけました。
次から次へ、いくつもいくつも、投げました。
どんどん投げたものですから、ロールパンナはクッションに埋もれて見えなくなってしまいました。
我に返ったローラは、なんて事をしてしまったのだろう、とすぐに謝ろうとしました。
するとやわらかいクッションが、ローラの顔にぶつかりました。
ロールパンナが、クッションを投げ返してきたのでした。
その表情は楽しそうでした。
それを見るとローラはいっぺんに元気になりました。
「やったなぁ!」
 とクッションを拾い、投げ返しました。
そして、クッションの中でもがいているロールパンナに向かって飛びかかりました。

ロールパンナの身体は勝手に反応していました。
あっという間にローラを組み伏せていたのです。
あわててロールパンナは手を離し、
「すまない、大丈夫?」
 と聴きました。
ローラは、
「これくらい、へっちゃらさ」
といいましたが、やっぱり痛そうでした。
「私はどこにいても迷惑をかけてしまうな…」
 とロールパンナは寂しそうにいいました。
ローラはあわててロールパンナの手をとり、
「誰だって間違える事はあるよ」
 とロールパンナを慰めました。
それでもロールパンナは少し寂しそうでした。
「さぁ、もう寝ようぜ」
 とわざと元気よく言って、
「ロールパンナも、ベッドで寝ろよ。あたいがついているから寂しくないだろ?」
 と冗談めかして言いました。
ロールパンナは
「うん…」
 とうなづきました。

 ロールパンナはふかふかのベッドの中で身体を硬くしていました。
それに気がついたローラは、そっとロールパンナの手を握ってあげました。
ロールパンナはちょっと驚いた顔をしましたが、息を大きく吸って、はきました。
そして、にっこり笑って、
「暖かい…」
 と言いました。
ローラも、微笑みました。
「まるで、雲の中で寝ているみたいだ」
「そうさ、ここはうきぐも城だからな」
「でも、雲よりもずっと暖かい」
「ふたりで寝るとよけいさぁ」
ロールパンナは、微笑みながら、なぜだか泣きたいような気持ちになりました。
今まで誰かと一緒に、他人に心を開くことはほとんど無かったのです。
「ローラ…」
と呼んでみました。
「ん?」
「ローラ?」
「なんだい?」
「…ローラ…」
「なんだよぅ」
ロールパンナはローラの名を口にするたび快い気持ちがこころの中に生まれるのでした。
ローラは何度も自分の名を呼ぶロールパンナを見てくすくす笑いました。
ロールパンナも一緒に笑いました。

 ロールパンナの赤いハートは、ドキドキと赤く光りました。
それはとても快いものでした、と同時に苦しくもありました。
私はローラのためなら何でも出来る。
ロールパンナはそう思いました。
二人はいつまでも一緒に笑っていました。
赤いハートはその思いにあわせて激しく鼓動しました。
そしてロールパンナはこの気持ちを、決して忘れませんでした。

2010年11月1日月曜日

青いハート (ファン小説)

 あくまの声がささやくよ
 お前はあくまの子
 正しい奴はみんな敵
 青いハートは悪いハート

 ロールパンナは飛び起きました。
一瞬どこにいるのか思い出せないほど混乱していました。
そこはよくロールパンナが夜を過ごすのに使っている洞穴でした。
空は白々と明るくなりかけ、もうすぐ暖かい朝がやってくることを告げているようでした。
ロールパンナは深いため息をつき、額の汗を拭いました。
恐ろしい夢を見ていたのでした。
それは青いハートの力が、とてつもなく大きくなってしまう夢でした。
夢の中で、ロールパンナはアンパンマンを倒し、ばいきんまんを壊し、メロンパンナを失い、次に自分が何をするのか気がついてしまいました。
それは「自分を壊すこと」でした。

 長い間冷たい岩に囲まれ、ロールパンナの心はずいぶんとささくれ立ってしまっているようでした。
ロールパンナはもう一度寝ようかとも思いましたが、きっともう眠れないと思いなおし、外に出ていきました。
冷え切った身体に、つめたい朝の風が吹き付けました。
ちょっと身震いをして薄暗い空に飛び立ちました。
こんな気分の時は、いつも花を見に行くことにしていたのでした。

 ばいきんまんは朝食のあと、ばいきんUFOに乗り込み花を探しに出かけました。
ドキンちゃんがいつもの様にわがままを言い出したのです。
「わたしの部屋をお花でい~っぱいにしたいの~。」
「わたしはまるでお花のお姫様~。」
 ばいきんまんはどこからそんなアイデアを思いつくのかと思いながら、
「ドキンちゃんがお花畑に行けば~…」
 と言ってみましたが、
「いいから行ってきなぁ!!」
と一蹴されてしまったのです。
「俺様きれいなお花なんてだ~いっ嫌いだもんね…」 
独り言を言いながら、ばいきんUFOから大きな袋と鎌を持ったマジックハンドを伸ばしました。

 ロールパンナは、すばやくロールリボンを繰り出しました。
リボンは一撃でばいきんUFOのマジックハンドを断ち切りました。
「だ、誰だっ!!」
 ばいきんまんは驚いて振り返りました。
「ロールパンナ!?」 
 ロールパンナはばいきんまんの顔を見ると、自分の苦しみの原因を思い出しました。
すべてこのばいきんまんが悪いのだ、と思いました。
壊せ。
青いハートはロールパンナにそう命令しました。
こいつを壊せばすべてが解決する、壊してしまえ。
ロールパンナは背筋にゾクリと冷たい物を感じました。
確かにそのとおりだ、と思ってしまったのです。

「ロールパンナ!!お前、アンパンマンを倒すのはどうした!」
 ばいきんまんは叫びました。
「アンパンマン?」
 なぜここでアンパンマンの事が出てくるのだろう、とロールパンナは思いました。
「そーだ! アンパンマンこそお前が倒すべき相手なのだ!」
「なぜ」
「アンパンマンがいるからお前はメロンパンナと暮らせないのだ!!」
 ズキっと心の奥が痛みました。
「アンパンマン…。」
 アンパンマンは私に無い物をすべて持っている、とロールパンナは気がつきました。
皆に好かれ、正義を体現し、そしてゆるぎない心を持っている。
そしてメロンパンナも。
そう思うと自分が情けなく、無価値な存在のように思えてくるのでした。
そしてアンパンマンがねたましく、心に醜い感情が燃え盛ってしまうのでした。

アンパンマンはちょうど朝のパトロールをしている所でした。
「ばいきんまん!!お花畑を荒らすのはやめるんだ!!」
 そう言ってから、アンパンマンはロールパンナに気がついて、驚いた顔をしました。
「…ロールパンナちゃん」
その瞳は穏やかでした。
「ロールパンナ!! アンパンマンを倒すのだ!!」
 ばいきんまんの声が耳に響きました。
しかしアンパンマンは、落ちているマジックハンドに気がつき、
「ロールパンナちゃん、花を守ってくれてたんだね!」
と、嬉しそうに言いました。
けれども、ロールパンナの心はその無邪気な態度を見て、ますますアンパンマンを憎らしく感じてしまうのでした。
「アンパンマン!!お前を倒す!!」
声に出して言いました。
それは、自分に言い聞かせるためでした。
アンパンマンと戦い始めたロールパンナを見て、ばいきんまんは
「いいぞー!!それ、やっつけろ~!!」
 と応援しつつ、鎌と袋を拾い上げ花を次々に袋につめていきました。

 リボンを繰り出し、逃げ回るアンパンマンを追いかけながらロールパンナは別のことを考えていました。
この戦いに決着がつくことはあるのだろうか?
私は永遠に二つの心の間で苦しむのではないのだろうか?
アンパンマンが地面に着かんばかりに低く飛んでいる所を、上からリボンで一撃しました。
けれどもすんでのところで当たりませんでした。
ぱっと花びらが散りました。
ロールパンナはその光景を見て、自分の怒りが収まるのを感じました。
それだけでなく、もう何をする気も起きませんでした。
ロールパンナはリボンを納め、ゆっくり花の真ん中に降り立ちました。

アンパンマンは嬉しそうに、
「ロールパンナちゃん…」
 といいました。
けれどもロールパンナのアンパンマンをねたましく思う気持ちは変わっていなかったのです。
そして、そんな気持ちに支配される自分を情けなく思う気持ちも、やっぱり変わっていませんでした。
花畑に立ち尽くし、ロールパンナは自分を真っ二つに引き裂いて、青いハートを捨ててしまいたくなりました。
新しい自分になれたら、正義の側にしっかり立つことが出来たら…。

 ばいきんまんは捨て台詞を残して立ち去ろうとしました。
ふと見ると、ロールパンナもついてきていました。
ロールパンナはアンパンマンと一緒に帰ることは出来なかったのです。
そして、孤独に押しつぶされそうな心は、他人の近くにいることを望んだのでした。
ばいきんまんは無表情についてくるロールパンナを見ながら、そのうちばいきん草のエキスを入れてやらなくては、と思いました。

2010年10月26日火曜日

うきぐも城のローラ姫 (ファン小説)

 きみは小さな歯車で ぼくも小さな歯車さ
 ひとつひとつは役立たず
 それでも二つあわせれば
 不思議な力が生まれるのだ

 真っ白なくもの上に不思議なお城が建っていました。
そこに一人っきりで暮らしているローラ姫は機械を直しているところでした。
最後のネジを締め終わって、ロールパンナ、と呼びかけようとしてローラは思わず振り返りました。
しかしそのとき、もう彼女はいないことに気がつきました。
もう何度目だろうと、ローラはついため息をついてしまうのでした。

 湯船に身を沈めローラは考えました。
わたしは、ずっと一人で空気を綺麗にする仕事をしてきた。
たまに手伝いを申し出てきたやつらも、私の汚染された髪を見ると逃げ帰っていった。
もう誰の助けも要らないと思っていた。期待を裏切られるよりそう思っていたほうが楽だった。
そこに彼女がやってきたのだ。
ロールパンナが。
彼女は特別だった。
ひどく汚染され黒くなってしまった髪を見ても動じなかった。
そして私に大切な事を教えてくれた。
「仲間」という物を。

 あの時別れなければ…と考えかけて、ローラはあわてて頭を振りました。
もし彼女がここにいれば私はどんなに嬉しいだろう。
でも、彼女からあの妹や他の仲間たちを奪うのは、あまりに身勝手な事だ。
そんなこと今まで何度も考えた事じゃないか。
私がこんなに未練がましいとは自分でも驚きだよ。

 しかしローラは機械を直すとき、髪を洗うとき、着替えるとき、考えないようにしていても、
どうしても、かいがいしく世話してくれたロールパンナのことを、思い出してしまうのでした。
ひとに髪を洗ってもらうのが、あんなに気持ちいいとは知らなかった。
あんたのせいであたいは寂しくてたまらないよ。

 この城にはどこもかしこもロールパンナの思い出が刻まれている。
庭の石段に膝を抱えて座り、咲き誇る沢山のまごごろ草の花を眺めながらそう思いました。
ローラにはここでロールパンナのために歌を作ったことが、まるで夢のように感じられました。
あの時と同じ月夜なのに、ここが本当に同じ場所なのだろうか、と思うぐらいがらんとして見えました。
そういえば、あの時以来ハープも触っていない。
私に歌を作るなんてどうして出来たんだろう?

 まごころ草の向こうに誰かが動いたような気がしました。
ローラは、気のせいだろうと思いました。この城を訪れる者などいやしない。
そよ風に揺れる花たちが、ありもしない人影を見せているのだろう、と思いました。
けれども月の光に照らされたその人影は次第にはっきりとしてきて、風になびくマントや真っ白な覆面が見分けられるようになったのでした。

「ロールパンナ!!」
 はじかれたようにローラは立ち上がって、駆け寄りました。
少し照れたように笑う覆面の少女は確かにロールパンナでした。
青白い月の光をまとったロールパンナはとてもきれいでした。
「どうしたんだい?あたいが恋しくなって戻ってきたのかい?」
 嬉しくてたまらないはずなのに、ローラは意地悪そうな声を出してしまいました。
「ローラの顔が…見たくなったんだ。」
 言葉少なくいうロールパンナはやっぱり変わっていませんでした。
「あたいは見せ物じゃ無いよ。」
 ローラは怒った顔をしようとしましたが、上手くいきませんでした。
ロールパンナは何も言わずにローラの隣に腰を下ろしました。
そうだった。ロールパンナは言葉より行動なのだった。
そう思い出してローラも腰を下ろしました。

「…ロールパンナ…。」
 しばらく二人で月夜のまごころ草を眺めたあと、さりげなくローラは話しかけようとしました。
けれども、言葉が何故か、のどに詰まったように上手く出てきませんでした。
そして振り向いたロールパンナの澄み切った瞳を見ると、何を話そうとしたのかも思い出せなくなってしまいました。
ローラの心からは、話したい事と、話すべき事と、秘めておくべき思いがいっぺんに出て来そうになって、ローラは何がなんだか分からなくなってしまいました。

 ローラは気がつくとロールパンナの胸で泣きじゃくっていました。
ロールパンナは、何も言わずローラの背中をさすってくれました。
あぁ、ロールパンナ、あんたはどうしてこんなにやさしいんだろう。
そう思っていると頭にぽつりと冷たい物を感じました。
顔を上げてロールパンナの顔を見ると、その目にも涙があふれていました。
「どうしてあんたまで泣いているんだい?」
 とローラは聞きました。
ロールパンナは驚いたような顔をして、自分の頬に手を当てました。
そして不思議そうにその手を眺めながら、
「分からない…。」
 と言いました。
ローラはくすりと笑い、目を袖で拭い、
「で?わざわざあたいの泣き顔を見に来たのかい?」
とまだ赤い目で、照れ隠しにそういいました。
ロールパンナは言いました。
「…わたしたちは遠く離れていてもずっと友達だ。」
「それを言いにわざわざ来たのかい?」
「…あぁ。」
 ただそのためだけに、こんな遠くまで飛んできたのだろうか?とローラは思いました。
ロールパンナにはきっと、もっと言いたいことがあるのに、言葉にすることができないのでしょう。
そう思い当たったローラは、なんだかとてもロールパンナが愛おしく感じられました。
そうか、私がくよくよしている間に、ロールパンナはさっさとあたいに会いに来たのか。
そう思うと嬉しくなってローラの心の真ん中から熱く快い感情が体の隅ずみにまで一杯になりました。
さっきまで泣きじゃくっていたのがうその様に心がうきうき、体がわくわくしてきました。

 ローラは笑い始めました。はじめはくすくすと、次第に大きく口を開けて笑いました。
泣いたり笑ったり忙しいな、とローラは思いそれもおかしく感じられました。
そしてロールパンナを思いっきり抱きしめました。
驚いたようにローラを見つめていたロールパンナも、いつしか一緒に笑い始めていました。
二人は笑いながらまごころ草の中に倒れて、それでも笑い続けました。
あぁ、一緒に泣いたり笑ったり出来る友達っていいものだなぁ。
初めて会ったときもこんなだった。
ローラは笑いながらそう思いました。

 ローラは目を覚ましました。
いつしか、まごころ草の花の中で眠っていたのでした。
月の傾きを見るとそんなに時間はたっていない様でした。
夢か…。とそう思いましたが、ふと思い当たりました。
ロールパンナにはまごころ草の花粉が入っている。
それなら、この花畑はロールパンナの心に通じていてもおかしくはない。
もしかしたらロールパンナも同じ夢を見ていたかもしれない。
互いを思う気持ちが、こんな夢を見させたのかもしれない…。

 ローラは、まごころ草の中で手足を伸ばしてみました。
長い間この城で暮らしていながらこんな事をするのは初めてでした。
風に揺れるまごころ草はかすかに鈴のような音色を奏でました。
そしてほのかな香りに気づきました。
あ、ロールパンナのにおいだ。
そうローラは思いました。

2010年10月11日月曜日

「アンパンマン大研究」読んだ

アンパンマンにはまって、必読書ともいえる「アンパンマン大研究」を読んでみました。
まだほとんどのエピソードを見たことが無く、劇場版ですらすべて見たわけで無いのですが、なんとなく違和感を感じる部分を抜書きしてみたいと思います。
なお、回答は研究者が行っている場合と原作者のやなせたかしが行っている場合があります。

p32
アンパンマンは、どのようにして生まれたのですか?
回答(抜粋)
ジャムおじさんが世界一のあんパンを作ろうとして、かまどでパンを焼いていたとき、パン工場の煙突から「命の星」が落ちてきて生まれました。(研

これは「アンパンマン誕生」で語られる事ですね。結構有名なエピソードだと思います。
しかし、問題は次の質問の答えです。

p40
アンパンマンが顔を交換した後、もとの顔はどうなりますか?
回答:(抜粋)
古いアンパンマンの顔は、交換したとたんに消滅するのです。顔は、アンパンマンの生命そのものです。新しい顔を取り付け新しい生命が誕生すると、古い生命つまり古い顔は消えてなくなるわけです。(や

アンパンマンの命は「命の星」じゃないのか…?
「命の星のドーリィ」ではアンパンマンから命の星が出て行ってしまう、と言うシーンがあり、それはアンパンマンの死を意味するように描かれていました。
しかしその一方、命の星はアンパンマンの身体に溶け込んでいる、と言及されていました。
つまり、アンパンマンの生まれる切っ掛けともなった命の星は、顔を交換すると体のほうから新しく供給されると言うことなのかもしれません。

p48
アンパンマンは死にますか?
回答(抜粋)
顔を取り替えさえすれば、新しい生命が誕生するのですから、死にません。(研
アンパンマンワールドは、不老不死の世界です。(や

これも前述の「命の星のドーリィ」、また「勇気の花が開くとき」ではアンパンマンが死んだような描写があったことから、少し疑問の残る回答と言えます。
しかし、明確に誰かが死んだことは無いのかもしれません。
アンパンマン、ドーリィ、ドキンちゃんなど「死んだような描写」があっても必ず救済されていますから。
生まれ変わる事で蘇っているのは「死ぬ」とは考えないのかもしれません。

p58
ばいきんまんは、どうやって生まれたのですか?
回答(抜粋)
ばいきん星から、たまご型UFOに乗ってきました。(や

これも少し疑問ですね。
アニメではバイキンマンが生まれた時の事を扱うとき、大体地球に来てたまごから生まれたシーンを流します。
しかし、この回答、よく見ると「どうやって生まれたか」には回答していませんね。
ドキンちゃんの場合は、今の姿で大きなたまごから出てきたのでUFOであると考えることが出来ますが。

p69
ドキンちゃんは、いつ生まれたのですか?
回答
ドキンちゃんに限らず、他のすべてのキャラクターすべて、よく分かりません。妖精は空気のようなものですから、いつの間にかそこにいる、という感じです。

この辺の回答はいかにも童話の世界と言う感じです。

p94
カレーパンマンは、誰が作ったのですか?
回答 
カレーパンマンが最初に登場したとき、ジャムおじさんが自分で作ったと言っています。このとき、アンパンマン誕生と同じように。、「命の星」が落ちてきたかどうかは不明です。(研
アンパンマンを作ったときのノウハウがありますから(や

ジャムおじさんは命の星が無くても生きたパンを作れるようです。メロンパンナやロールパンナを作る話があるので明らかです。

p114
この国は、なんと言う名前ですか?
回答(抜粋)
日本です。(研
日本ですが現実の世界ではなく、アンパンマンワールドです(や

ここにはビックリしました。確かに日本の行事を行っていますからね…。
アメコミで言うマルチユニバースとかパラレルワールドのようなものですね。

p123
この世界には、外国もあるのですか?
回答(抜粋)
あります。どうやら私たちの知っている実在する国と酷似した国ぐにがあるようです。ただし、国民はみんな動物人間で、モニュメントも動物型になっているようです(研
アンパンマンワールドにおける外国は、すべてバーチャルランドです(や

この「バーチャルランド」と言うのが、アンパンマン世界におけるバーチャルなのか、アンパンマン世界を含んでバーチャルなのかがちょっと疑問です。
この文脈で行くと前者のようですが…。

p125
この星は、なんと言う星ですか?
回答(抜粋)
地球です。(研
地球ですが、私たちの存在する地球とはまったくの別世界です。例えば、ピーターパンに出てくるネバーランドのようなものです。(や

この辺もパラレルワールドっぽいです。

p126
この世界の地図を見せてください
回答
地形などはなんだかよくわかりません。なぜならバーチャルランドだからです。「地図らしきもの」と言っておきましょう。(や

この回答を見るとやはりアンパンマン世界そのものがバーチャル(空想)と言うことですかね。

p128
アンパンマンワールドでは、なぜ食べ物が生きているのですか?
回答
食べ物は生命やエネルギーの源で、イースト菌も酵素などもみんな生きています。彼らが、人のような象徴的な形になったのです。(や

象徴的な形、と言うことは寓話のようなものですかね。
この辺、アンパンマン世界の中のこととアンパンマンと言う作品のこととが混ざり合っている感じですね。

ハンバーガーキッドは、どこから生まれたのですか?
回答 
アンパンマンワールドのどこかで、突然生まれました。(や

つまり、やなせ先生の頭の中で突然生まれた、と言うことですかね。